皇帝陛下との出会い

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ア「お兄ちゃんと黒お姉ちゃんってさあ、最初どういう風に知り合ったわけ？身分違いもいいとこじゃん？」アルちゃんにしてみれば当然の疑問だろう、俺だって意外すぎる出会いだったんだから。ああ、それはね、俺がたまたま行った西川口の…（むぐっ）！？黒「あ、あのね！あたしのバイト先にこいつが来ててね、そ、それで知り合ったのよ！！よ、よくある話でしょ！？あははははー！」最後まで言わせてなるものかと、黒陛下が慌てて俺の口をふさぐ。い…息ができません、陛下っ！ラ「…ふ～ん。バイト先、ねえ？でも、公務員ですらバイト禁止じゃない。皇帝陛下がバイトなんかしていいの？」黒「え…あ、それは、色々とその、事情があって…」白「うふふ、知りたい～？お姉ちゃん、教えてあげよっか～？」ティーセットと焼き立てのビスケットをトレイに乗せてやってきた白陛下が、にんまりと微笑む。黒「お、お姉ちゃん！あれ一応、軍事機密ってことになってて…！？」白「別にいいじゃない。あたしたちみんな穴兄弟ならぬ竿姉妹なんだし、今さら隠し事なんかしたって始まらないわよ。それに、キミも知りたいでしょ？なんでこの子があんなトコで働くことになったのか、その理由」そういえば、俺も詳しく聞いたことはない。よっぽどの事情がなければ、ああいうコトにはならないよなあ…。白「この子ったらねぇ、演習中ついカッとなって、アグレッサー機ほんとに撃墜しちゃったのよ～」…え゛？黒「だ、だって仕方ないじゃないっ！演習弾ぜんぶ撃ち尽くしたのに一発も当たんないしっ！！いかにもざまーみろって感じで悠々と旋回なんかしてるしっ！！そんなの、実弾しか残ってなくても、全弾ありったけ撃ちたくなるのが人情じゃないっ！？」うわぁ…（言葉にならない）。白「で、カンカンに怒ったママから『あれ一機でいくらすると思ってんだい！？弾だってタダじゃないんだよ！！』って叱られて、一ヶ月お小遣い抜きにされちゃったのよね～」え？なに、その寛大すぎる処置？母后陛下って、実は聖母マリア様かなんかですか？黒「いや、まあ…あたしが悪いんだけど、そのときちょうど、シュ〇イフの期間限定クマさんが発売されて、なにがなんでもお金が必要だったのよね。それで、つい…『高給優遇』ってバイトに飛びついちゃって」…知らなかった。俺のキューピッドは、アグレッサー機と期間限定クマさんだったのか（驚愕）。ラ「そっか、黒ちゃんも大変だったんだね～。でもま、それが縁で彼氏さんと知り合えたんなら、それはそれでラッキーだったじゃない♡…でも、よかったの？本番禁止なんでしょ？」黒「あ、うん。つい勢いでシちゃったけど、お店にはナイショに…って、あ゛！？」うめー。ラムちゃん誘導尋問うめー。白陛下が保安省にスカウトしたがるわけだわ（感心）。あ、黒陛下が顔伏せて肩をぷるぷる震わせてる…ってことは、くるな、アレが。黒「ええ、そうよっ！あたし皇帝陛下なのにソープ嬢のバイトしてたわよっ！！日給保証５万、入店祝い金10万よっ！！月収100万も夢じゃないって求人広告だったわよ、文句あるっ！？」顔を真っ赤にして息を荒げ、涙ぐみながら逆ギレする黒陛下。なんか週に一回は見てるよな、コレ。ア「んー。いいんじゃない？それって、お兄ちゃんと付き合う前なんでしょ？フリーの子が誰とシたって勝手だし、高給優遇だって需要と供給の問題だし。職業に貴賤はないって言葉は、こういうときに使っとかないとね」アルちゃん、〇学生なのに割り切ってるなあ。さすが、アイドルは水商売ということか…。黒「ううう、〇学生に正論で慰められるあたしって…ま、まあ、最初で最後の客がこいつだったから、実質ソープ嬢経験はド素人以下なんだけど…」ラ「それよそれっ！その辺をじっくりねっとりぐっちょり聞きたいのよ、私は！！彼氏さんとどんなプレイやらかしたの！？泡踊りは基本として、潜望鏡は？タワシ洗いは？スケベ椅子使った？アナル舐めなんかもやっちゃった！？」誰かこの耳年増ファラオを止めてくれ。止まらないとは思うけど、止めるフリぐらいはしてくれ、頼む。黒「…ごめん、あんたがナニ言ってんのかさっぱり分かんない。入店したとき色々レクチャーされたけど、いざとなるとアタマ真っ白になってぜんぶ飛んじゃって…普通にハメられて、普通に中出しされただけだったわ。初めてなのに相性が良くて、途中から仕事忘れて夢中になっちゃって、本番禁止とかゴム着用とか言われてたの、どうでもよくなっちゃってたから…」もじもじと恥ずかしそうにうつむく黒陛下に、思わず勃起が収まらない。ラムちゃんにいたっては、人目もはばからずにクリオナおっぱじめる始末だ。黒「それで、ぜんぶ終わってから『ああ、あたしカラダ売っちゃったんだ…』とかせつない気持ちになってたら、こいつ『あの、陛下…ですよね？ナニやってんすか、こんなとこで？』とか言い出すのよ！？ブルーな気分なんか木っ端みじんに吹っ飛んで、まず最初に考えたのは『コイツ、口封じに殺さなきゃ！』ってコトだったわ！！」…え？あんとき俺、殺されかけてたんですか！？黒「あったりまえでしょ！！皇帝陛下がソープで働いてるだけでも大スキャンダルなのに、いきなり身バレよ身バレ！？生かしといたら、どんなとんでもない脅迫してくるかも分かんない！！皇帝の秘密を嗅ぎつけた奴なんて、まず真っ先にブッ殺すのがこの業界のルールなんだからっ！！」そこ、白陛下もラムちゃんもアルちゃんも、そりゃ当然だとかいう顔でうなずかないように。黒「だから『いったい何が望みなの？』って思いっきりドスきかせて訊いたのに、あんた脳天気な顔で『望み、ですか？んー。陛下と南の島にでも行けたら最高っすねえ♡』とか言ってくれちゃって…あんたねえ！あたしがどんだけハラハラドキドキしてたか分かってんの！？もうちょっとであんたの首と胴体、泣き別れだったんだからね！！ちゃんと分かってんの、もうっ！？」一方的に怒鳴りまくられポカポカ叩かれ、助け船を求めてみんなのほうを振り向くと、白陛下もラムちゃんもアルちゃんも『くたばりやがれ、このバカップル』という微笑みをうかべて、中指を立てているだけだった。